出っ歯を治す方法　出っ歯のタイプ別原因と対策、矯正治療について

2017/7/11 追記

出っ歯のお悩みも十人十色

出っ歯は、人によって色んな悩みがあります。

上の前歯（出っ歯）が目立つお悩み

• 上の前歯が大きいため、目立ってしまう（巨大歯）
• 前歯が唇側に傾いているため、目立ってしまう（歯牙傾斜）
• 隣の側切歯が小さいため、相対的に前歯（中切歯）が目立ってしまう
• 下の前歯が小さいため、相対的に上前歯が目立ってしまう
• 歯並びがガタガタのため、目立ってしまう（叢生）

表情に関するお悩み

• 唇を閉じづらい
• 唇を閉じても、前歯の一部が見えてしまう
• 唇を閉じようとすると、表情が不自然になってしまう
• オトガイ（アゴの先）が梅干のようになってしまう

顔貌に関するお悩み

• 上唇に前突感がでてしまう

咀嚼機能（そしゃく）に関するお悩み

• 上前歯が下前歯よりも出ていて、噛み合わない
• 前歯が噛み合わないため、前歯でものを噛み切れない

心理的影響に関するお悩み

• 笑顔がぎこちなくなる
• 笑った際に、口に手を持っていってしまう

お口の乾燥と衛生面に関するお悩み

• 唇が開きっぱなしになり、お口が乾燥しやすい
• 乾燥により唾液の自浄効果が働かず、口臭・虫歯・歯周病になりやすい

滑舌に関するお悩み

• 発声の際に空気がもれてしまう

歯の位置的問題による出っ歯

当院にいらっしゃる患者さんの9割はこの出っ歯です。

歯の位置的問題による出っ歯の原因

これらは、先天的な要因と後天的なものがあります。

• 先天的なものとして、歯の大きさによるもの
• 後天的な習慣が原因となるもの

詳しくは、このページの「出っ歯になる原因」で紹介します。

歯の位置的問題による出っ歯の治療法

治療法については、主に

• 前歯の歯並びを良くする歯科矯正治療（部分矯正）
• 歯並び全体を良くする歯科矯正治療（全顎矯正）
• （矯正ではありませんが）出っ歯自体を削ったり抜いたりして被せ物・差し歯にするセラミック治療

があります。詳しくはこのページの「出っ歯を治療する4つの方法」で紹介します。

骨格が要因の出っ歯

骨格性のものは、アゴの骨のズレにより出っ歯になります。「出っ歯＝上顎が前突」のように見えますが、それだけとは限らず、上顎が正しいポジションにあったとしても、下顎が後退していると出っ歯に見えることがあります。

歯の位置的問題による出っ歯の原因

遺伝的なものや、成長期の上顎骨の過成長・下顎骨の成長不良などが原因となります。

骨格要因の出っ歯を治療するには？

大人になってから骨格要因の出っ歯を治療する場合、歯を動かす矯正治療だけでは限界があります。理想を追求するために、外科的な手術が必要な場合があり、「口腔外科」や「美容外科」で手術を受ける必要があります。手術内容は症状によりますが、全身麻酔になることが多く入院期間は3日～、費用は100万円～が目安です。

出っ歯になる原因

では、よくある「歯の位置的問題の出っ歯」について詳しく見てみましょう。

出っ歯の原因 (1) 生まれつき前歯が大きい

遺伝的に前歯が大きくても、それに見合うスペースが十分にあり上下の咬合が良好なら問題はありません。しかし、前歯が大きいことにより、歯の生えるスペースが不足してしまう場合は前歯が重なったり傾いたりする等歯並びが悪くなり、出っ歯になることがあります。

出っ歯の原因 (2) 生活習慣・悪習癖

舌癖（ぜつへき）

舌癖とは、舌を歯に押し付けたり、上下歯の間に舌を出したりする癖です。舌癖が強いと、日常的に前歯に力がかかり、やがて上の前歯が前傾して、出っ歯になります。

舌癖があるかチェックする方法

ツバを飲むときに、舌が歯に触れるか試してみてください。通常は歯に触れません。もし歯に触れるのであれば、舌癖があると言えます。

弄唇癖（ろうしんへき）

弄唇癖とは、下唇を吸ったり噛んだりする癖があることで、日常的に下の前歯に力がかかります。やがて下の前歯が内側に傾斜していき、相対的に出っ歯となります。他にも、

• 吸指癖（指を吸う癖）
• 咬爪癖（爪を噛む癖）

などの弄唇癖が出っ歯を引き起こす場合があります。

赤ちゃんの指しゃぶりと出っ歯について

赤ちゃんの指しゃぶりは本来生理的なものですが、4歳児を過ぎてからの指しゃぶりは出っ歯の原因となります。しゃぶっている指で前歯を押し続けてしまい、やがて出っ歯となります。

出っ歯の原因(3) 抜歯・歯の欠損

年齢を重ねると歯周病により歯を失うケースが出てきます（歯を失う原因の第一位は歯周病です）。歯を抜けたまま放置すると、周囲の歯が倒れて移動して出っ歯になる場合があります。また奥歯が抜けて、咬合のバランスが崩れ、かみ合わせ時に下前歯が上前歯を突き出す形で出っ歯になる場合もあります。

出っ歯を治療するメリット

歯並びが良くなる

歯並びが良くなり、第一印象がスッキリします。出っ歯を治療した方で「笑うときに口を開けたくなった」と言う方がとても多いです。

表情筋がリラックスする

出っ歯で歯が見えないように意識的に唇を閉じようとすると、表情筋が緊張しがちです。出っ歯を治療するとこの緊張がなくなるため、表情がリラックスして見えるようになります。

第一印象が変わる

他人から最もみられる顔貌は、「斜め横顔」です。手鏡をご自身の前方斜め45度においた時に見える顔貌です。出っ歯の方の場合、治療前後で斜め横顔の変化は大きく、第一印象も大きく変わります。  

横顔・Eラインが美しくなる

Eラインとは、エステティックラインの略で、鼻の先端ーおとがい（アゴの先端）を結んだライン呼びます。日本人は、Ｅライン上、もしくはその内部に唇が収まると横顔が美しいとされています。

歯のお掃除と清潔

出っ歯の方は、歯と歯が重なり合う方が多く、歯ブラシがあたらない部分が多くあります。出っ歯を治療して歯並びが良くなると、歯ブラシのあたりが良くなり、虫歯や歯周病の原因菌をお掃除でき、虫歯・歯周病・口臭の予防ができます。

お口の乾燥がなくなり、自浄作用が働く

歯が乾いているのが普通だと思っていませんか？実は歯が乾いているのは、出っ歯の方の特徴とも言えます。出っ歯を治療すると、お口を閉じて鼻呼吸できるようになり歯が唾液に触れている状態になります。唾液には、食事で溶けた歯を再石灰化する働きや、抗菌作用があります。したがって、虫歯・歯周病・口臭・口内炎などの予防につながります。

上前歯と下前歯の噛み合わせが良くなる

本来は、お口を閉じたときに前歯も奥歯も当たります。あ しかし出っ歯の方は前歯があたらないため、奥歯に咬合の負担がかかります。特定の歯に咬合負荷がかかっている状態では、「マイクロクラック」という目に見えない細かなヒビができやすくなり、虫歯を誘発します。

口呼吸から鼻呼吸へ

出っ歯により唇が開きっぱなしになっていた方は、唇を閉じられるようになるため、鼻呼吸をしやすくなります。

将来的な出っ歯の悪化を防げる

出っ歯の方は、現在のかみ合わせや口呼吸などにより、さらに悪化する可能性があります。出っ歯を早く治療することにより、将来的なお口や歯のリスクを回避できます。

出っ歯を治療する4つの方法

部分矯正で歯並びをよくする治療

歯にブラケット（装置）をつけて、直接歯を動かしていく治療法です。前歯の気になる歯列部分だけ治療できるため現在出っ歯を治すのに多く取り入れられています。 この治療法は治療期間（3か月～）と費用（200,000円～）がお手頃で、何より、「ご自身の歯を活かして治療できる」のが人気の理由です。

部分矯正のデメリット

• 重度の出っ歯は、全顎矯正でないと難しい
• 骨格性の出っ歯を治療できない
• 咬合は改善できないこともある

部分矯正のメリット

• 短期間、低価格で治療ができる
• 前歯の気になる部分だけ歯列を治療できる
• ご自身の歯を活かして治療できる
• 歯の位置や向きを変えることができる

全顎矯正で治療

重度の出っ歯の方は、全顎矯正がお勧めです。全顎矯正は歯列全体を動かすため、

• 出っ歯の程度が著しい方
• 細やかなコントロールを求める方
• インプラントや抜歯をする方
• 奥歯の咬合の治療が必要な方

などの症例にも対応が可能です。 治療期間は1.5年～、費用も80万円～です。

全顎矯正のデメリット

• 治療にかかる費用と期間が大きい点
• 骨格性の出っ歯を治療できない

全顎矯正のメリット

• 全ての歯を動かすため、細かなコントロールが可能
• 咬合の治療が可能
• 咬合改善により、将来的に考えられるお口の健康のリスクを除去できる
• パーフェクトビューティーを望む方にも、対応可能

外科的手術で治療

骨格要因が大きい場合、歯だけを治療する矯正治療だけでは難しいです。根治をするには、外科的な手術をするのが一般的で「口腔外科」や「美容外科」で手術を受けることが可能です。手術内容は症状によりますが、全身麻酔になることが多く、入院期間は3日～、費用は100万円～が目安です。矯正歯科でも初診や検査の結果手術をお勧めする場合があります。

外科手術のデメリット

• 手術となるので、身体的・経済的負担が大きい。

外科手術のメリット

• 骨格要因の出っ歯を根本治療できる唯一の治療法

セラミック治療（当医院では行いませんが）

• 出っ歯を削ってセラミックを接着
• 出っ歯を抜いて差し歯にする

等の治療です。数日中に美貌を回復させるニーズのある方に向いている治療法です。1～2回の治療で完結し、費用も歯が1本あたり10~20万円です。

セラミック治療のデメリット

• ご自身の歯を削ったり、歯や神経を抜いたり
• 歯の生え際（歯茎）の位置は変わらないため、歯の形態に限界がでる。
• 骨格性の出っ歯を治療できない
• 自分の歯よりはもろいので、いずれやり直しが必要

セラミック治療のメリット

• 短期間で出っ歯を治療できる点
• 歯の色もオーダーできる点

です。

上前歯の出っ歯（ウィンギング）の部分矯正症例

出っ歯の状態と患者さまのご要望

25歳OLさんの症例です。 真正面から見た写真では、一見歯が整っているように見えますが、顔の下や横から見ると上前歯2本の前突がやや目立ちます。 前歯2本が天使の翼のように傾くため、ウィンギングと呼ばれています。

治療プランについて

治療箇所は、上の前歯のみです。 ウィンギングの歯の捻じれをなおし、歯を移動しました。 矯正装置を目立たせたくないとのご要望でしたので、歯の裏側にワイヤーをつける、裏側矯正で治療しました。 5か月の矯正期間を経て、治療後の写真になりました。

治療データ

治療医院	三橋矯正デンタルオフィス
矯正期間	5か月
矯正装置の種類と料金	上裏側矯正 /35万円
処置料	6,000円(+税) / 毎治療時
矯正した歯の箇所	上の前歯のみ

他院で抜歯・全顎矯正を勧められた方の部分矯正症例（出っ歯・部分矯正）

出っ歯の状態と患者さまのご要望

30代の女性で、上前歯の前突を改善したいと来院されました。 他院では抜歯して全顎矯正することが必要だと言われたそうです。

治療プランについて

ディスキング（歯の側面をごくわずかに削ること）を行うことで、非抜歯での部分矯正が可能だと判断しました。

治療DATA

治療医院	三橋矯正デンタルオフィス
矯正期間	7か月
矯正装置の種類と料金	上表側矯正 / 30万円
処置料	6,000円(+税) / 毎治療時
矯正した歯の箇所	上の前歯のみ

抜歯を伴う出っ歯の部分矯正の症例

出っ歯の状態と患者さまのご要望

上前歯は１１（正面から数えて左右1番目の歯）の前突が大きく、２２が（正面から数えて左右2番目の歯）唇側に大きくズレており、下顎も叢生がある状況でした。 就活を控えた学生さんで、なるべく早く、なるべく安く治療したいというご希望でした。

治療プランについて

出っ歯だけでなく全体的に叢生があったので理想を言えば全顎矯正をすることではありましたが、低コスト・短期間で効果的に第一印象を良くできる治療プランを検討しました。 上前歯の出っ歯と叢生を綺麗にすることを目的として、2本の抜歯と上前歯の部分矯正を提案しました。 抜歯をする歯は、左右4番の歯（正面から数えて左右4番目の歯）と左右2番の歯（正面から数えて左右2番目の歯）で2パターン考えられました。 治療に時間をかけられるのであれば、上の４４抜歯で、犬歯を後方へ移動させて、２２を前方移動、１１を後方移動するほうが仕上がりが綺麗になりましたが、治療期間を短くすることを優先させて、上の２２抜歯をしました。

ドクターより一言

今回は部分矯正にしては珍しく、抜歯を伴う症例です。 今回のように治療プランが複数考えられることはよくあることで、治療前のカウンセリングでそれぞれ治療した場合の出来栄え・期間・費用などをお話ししていきます。 今回は治療期間を優先し、5か月という短い矯正期間で完了でき、就活もうまくいったようでよかったです。

治療DATA

治療医院	三橋矯正デンタルオフィス
矯正期間	5か月
矯正装置の種類と料金	上表側矯正 / 20万円
処置料	5,000円(+税) / 毎治療時
矯正した歯の箇所	上の前歯のみ / 2本抜歯

出っ歯を全顎矯正で治した症例

出っ歯の状態と患者さまのご要望

20代女性の症例です。歯の正面写真（写真・左上）だけを見ると、とても綺麗ですが、お顔の下や横から見ると、お口元に前突（出っ歯）があるのがわかります。 また、下から見た写真（写真・右上）では、前歯の咬合が成立していません。

治療プランについて

上下左右4本の歯を抜歯して矯正治療。 非抜歯でも治療は可能でしたが、患者さまがお口元をスッキリさせたいとのご希望だったので4本抜歯しました。 治療装置は、見た目とお手入れを考えて、上を裏側矯正、下を表側矯正で行いました。

出っ歯治療終了時の写真

上下ともに歯並びが良くなり、顔貌もEライン（写真内の青いライン）ができました。 また、全顎矯正を行ったので、お口元全体の審美的バランスが取れ、咬合機能も良好になりました。

治療医院	三橋矯正デンタルオフィス
矯正期間	2年8か月
矯正装置の種類と料金	上裏側矯正・下表側矯正　ともに全顎 / 110万円 (+税)
アンカーインプラントの料金	6万円(+税)
処置料	8,000円(+税) / 毎治療時
矯正した歯の箇所	全顎 / 4本抜歯

◆ 関連リンク 出っ歯を部分矯正で治療した症例一覧ページ