歯並びを気にしている方の中でも特に八重歯を矯正したいと思っている方は多いのではないでしょうか。
悩まれている方の多くは、矯正治療となると費用は高いし期間も長いのでなかなかふん切りがつかない方もいるかと思います。
しかし、八重歯でも費用も安く、矯正期間も短い部分的な矯正で、見た目やかみ合わせの改善につながる可能性があります。
今回は、症例を交えて八重歯の部分矯正についてお話しいたします。
あっ!本当だ!
あの特徴的な八重歯がなくなってる!
可愛かったイメージがあったけど、
大人の品格のある女性って感じになったよね。
三橋先生は、この女優がタイプなんだな・・・ボソボソ
この女優さん、八重歯を治すとほんと綺麗になるのにって、
いつも気になっていたんですよね。
それは、職業病だね(笑)
僕もそうだけどね、アハハ。
歯科大学で学んできた八重歯の矯正は、ほとんど全顎矯正だったんですが
部分矯正で八重歯を治療できるものなんですか?
症例によるけど、部分矯正でも八重歯の治療は可能だよ。
ということは、全顎矯正ほどの費用や期間をかけずに治療できるんですね。
上の前歯6本を部分矯正して八重歯を治療した症例
八重歯の状態と患者さまのご要望
左右上の八重歯が気になると来院されました。
治療プランについて
今回、部分矯正で八重歯を治療することを前提として、2つの治療プランが考えられました。「抜歯する治療プラン」と「抜歯しない治療プラン」です。
抜歯する治療プランでは、4番の歯(犬歯のひとつ奥側の歯)を左右それぞれ抜歯し、犬歯を含む前歯6本の歯を動かすプランです。しかし抜歯によりできるスペースがやや残ってしまう可能性がありました。
抜歯しない治療プランでは、上前歯の歯列を前方(唇側)に少し動かすことで、歯が正しいポジションに移動するためのスペースを確保します。この患者様の場合は、もともと上の歯列全体が奥側(舌側)にやや傾いており、前方への移動は問題ありませんでした。
顔貌から見たお口元など総合的にみて、今回の患者さまは抜歯しない治療プランに決まりました
ドクターより一言
このように八重歯で歯の重なっている量が少ない場合は、非抜歯・部分矯正でも治療することが可能です。
治療データ
矯正期間 |
7か月 |
矯正装置の種類と料金 |
裏側矯正・45万円 |
処置料 |
¥6,000 |
矯正した歯の箇所 |
上の前歯6本(犬歯~犬歯) |
八重歯の治療でも、非抜歯の部分矯正でできるんですね。
患者様のお口の状態によるけどね。
では次に抜歯した症例も見てみよう。
抜歯と前歯の部分矯正で八重歯と出っ歯を治療した症例
八重歯・出っ歯の状態と患者さまのご要望
左上に八重歯、お口元全体の前突感(出っ歯)、上下歯列の乱れを改善したいと来院されました。
上下前歯の部分矯正、できれば非抜歯をご希望でした。
また挙式を半年後に控え、それまでにご自身の歯並びを良くしたいとのご希望でした。
治療プランについて
患者さまは、できれば非抜歯で矯正治療をしたいとのご希望でしたが、非抜歯で部分矯正をする場合は、歯列が整ってもお口元の前突感が充分に改善できないため、部分矯正でより美しく仕上げるために抜歯する治療プランとなりました。
挙式を控えた6ヵ月の間になるべく前歯の凸凹だけでもそろえて、その上で挙式が終わった後も抜歯スペースを閉じるなど歯を動かしていく治療プランとしました。
また、部分矯正では抜歯したスペースを完全にはクローズできない可能性があり、確実にクローズするのであれば全顎矯正という方法がベストだとお話しさせていただきましたが、患者さまのご希望で部分矯正にて治療することになりました。
抜歯について
患者さまが抜歯を嫌ったのは、抜歯の痛みを避けたいとの思いからだったようです。
そこで静脈内鎮静法で抜歯を行なうことを提案し、紹介先の大学病院で抜歯をしました。この方法であれば、麻酔で意識が朦朧(もうろう)としている間に抜歯が終わります。
抜歯箇所については、左上・左下・右上の4番目の歯(犬歯の1つ奥側の歯)合計3本。
※右下は元々2番目の前歯が欠損していたため、抜歯はしていません。
矯正治療開始から挙式まで
抜歯して、上顎に裏側矯正(舌側矯正)、下顎に表側矯正(唇側矯正)の矯正装置を着けました。半年後の挙式にすべての治療を間に合わせるのは無理がありましたが、患者さまにとってはご満足の結果となりました。挙式の際、裏側矯正装置はそのまま、表側矯正をつけた下顎の矯正装置は一時的に外しました。
挙式時(初診から6か月後)
挙式後の治療について
挙式後、下顎の装置を再装着して、治療を継続しました。上下の正中もそろい、良好な結果になりました。
抜歯した隙間に関しましては、完全に閉じきれない可能性もありましたが、上の歯列は全てクローズできましたが、右下に1mmのスペースが残り補綴治療にて対応しました。
ドクターより一言
本来であれば全顎矯正を選択してもよい八重歯・出っ歯・叢生の症例でしたが、患者様のご希望で部分矯正で治療しました。
患者さまにはとてもご満足いただいております。
治療データ
矯正期間 |
14か月 |
矯正装置の種類と料金 |
コンビネーション矯正(上が裏側矯正、下が表側矯正)70万円
挙式後に装置を再セットした費用5万円 |
処置料 |
¥8,000 |
矯正した歯の箇所 |
上 犬歯~犬歯の6本
下 犬歯~前歯の5本 |
前突・叢生・八重歯と結構いろんな所見がありますが、それでも部分矯正でできるんですね。
そうだね。
奥歯の噛み合わせに改善の余地があったからベストチョイスとはいえなかったけど、限られた予算と期間で最大限の治療をした感じかな。
たしかに噛み合わせの改善などを考えると、審美だけでなくお口の健康状態がかなり良くなりましたよね。
実際に八重歯を治療するとなると、お口のいろんな状態を総合的に見て治療を進めなければいけないからね。
最後に、一般的な八重歯の治療法を紹介しよう。
矯正で八重歯を治す一般的な治療法
八重歯は歯の生えるスペースが十分にないことにより、歯の位置に異常がでるものです。治療をするには
(1)歯の生えるスペースを確保する
(2)八重歯や近隣の歯を動かし、歯列に入れる
といった段階で治療していきます。
(1)歯の生えるスペースを確保する
矯正治療をする上で、歯の生えるスペースを確保するには、4つの方法があります。これらの方法を組み合わせて歯の生えるスペースを確保します。
ディスキング
ディスキングとは、歯の側面(隣接面)をわずかに削る方法です。エナメル質の最大1/3程度を削るものです。
※全顎矯正・部分矯正ともに一般的に行われる方法です。
歯列全体を拡げる
歯列全体を横や前に拡げることで、歯の生えるスペースを確保する方法です。ただし、歯の土台となる歯槽骨の範囲内で拡げるため、患者さまにより適用範囲が異なります。
先に紹介した症例「上の前歯6本を部分矯正して八重歯を治療した症例」では、歯列を前方に拡大しました。
※部分矯正でもある程度行うことが可能です。
抜歯する
歯を抜くことで、その分のスペースを確保します。当然健康な歯を抜くことになりますので、十分な検討が必要です。抜歯をする場合、一般的には、犬歯の1つ後ろの第一小臼歯を抜きます。
先に紹介した症例「抜歯と前歯の部分矯正で八重歯と出っ歯を治療した症例」では、3本の歯を抜歯しました。
※全顎矯正で行うことが一般的ですが、部分矯正でも対応可能です。
歯列全体を奥に移動する
奥歯の位置をさらに奥に移動させることで、手前側のスペースを確保する方法です。歯を後ろに移動させるための固定としてアンカーインプラントを使います。
※全顎矯正のみで、部分矯正では不可。
(2)八重歯や近隣の歯を動かし、歯列に入れる
矯正治療では、(1)で八重歯が歯列に入るスペースを確保しながら、歯の位置を動かしていきます。
部分矯正は主に前歯を、全顎矯正ではお口にあるすべての歯を動かします。
スペースを作って、歯列を整えるのが基本なんですね。
部分矯正でも八重歯治療ができる可能性が結構あるんですね。
たしかに部分矯正は症例を選ぶけど、八重歯の治療が可能なケースも充分にあるね。
矯正医によっては最初から全顎矯正を勧められるかもしれませんが、「部分矯正で治すとしたら、どうなりますか?」と相談するといいでしょう。
自分が患者だった時のことを思い出すと、意外に難しい質問ですよね。
そうかもね。
でも矯正治療は長く続くし、何よりお口元のことだから、ドクターとの相性は大事だね。
個人的には、治療のメリット・デメリットを踏まえて説明してくれること、納得できる説明をしてくれることは、医院選びの上で重要だと思うよ。
この記事について
記事名
八重歯の部分矯正について
説明文
八重歯は部分矯正で治る!期間を短く費用も抑えられる八重歯の矯正
執筆者
矯正専門歯科 三橋矯正デンタルオフィス